子どもの頃よく行った駄菓子屋さんで必ず買っていたのが「あんずボー」でした。
お小遣いの100円で、いかにたくさん、いろいろ買うかに、ありったけの知恵をしぼったものです。

冷凍庫の脇にいれてある凍った「あんずボー」は1本20円。
噛むほどに、あんずの甘酸っぱさが口いっぱいに広がり
すかさず、シャーベット状になったシロップを口に入れ
ジャリジャリ、ジャリジャリと言わせながら食べるんですよね。

冬の寒いときなどは冷え冷えの「あんずボー」から、ちょっと浮気して「みつあんず」にいったりもしました。
そのまま吸って食べたり、ちょっと予算があればソースせんべいを買ってつけて食べたり。

パッケージに描かれたあんずの絵は、子どもの頃に通った駄菓子屋さんの店内の記憶と共に強く残っています。
それとパッケージ書かれた「ミナツネ」の文字。
わたしはこのあんずボーを「ミナツネ」と呼んでいました。
使い方としては、駄菓子屋で、あんずボーを買うとき、おばちゃんに「ミナツネ、1本ね!」って言うんです。
そうすると、おばちゃんが「はいよ、ミナツネのあんずは20円」という具合に返してくれました。

そして今回、ご縁があって「ミナツネ」さんの工場に特別におじゃまさせていただきました。
みなさんは、ミナツネさんが近所にあるのをご存知でしたか?
合羽橋の近くにミナツネさんはあります。
(こちらで小売はしていませんのでご注意ください)
黄色の看板に書かれた「あんず」の文字が目に飛び込んで来ます。

ミナツネさんの創業は1916(大正)4年。
飴屋さんからスタートしたのだそうです。
そして二代目のときに長野からあんずを取り寄せ、あんず菓子の製造を始めました。
現在は四代目がその後を継いでらっしゃいます。
工場に入ると、おなじみのあんず菓子が所狭しと並んでいます。

あんずボーの製造は、まず、あんずをキレイにするところから始まります。
各地で収穫されたあんずは、タネを取り除き、乾燥させます。
乾燥あんずが工場に届くと、この機械に次々と入れていきます。

火であぶり、あんずに付着したゴミを焼いていきます。
写真内に見える光の筋は火の粉です。
これは、ゴミがパチパチと焼けて火の粉となっているのです。
そしてゴミを取り除いたら、次はX線にかけ、付着物がないか緻密にチェックします。
ゴミを取り除く作業が終わったら、次の工程へと進みます。
(その2につづく)