根岸4丁目の「矢島写真館」で開催された作品展「トキトソメ」におじゃましてきました。

 

作品展の会場となった矢島写真館は、大正7年(1918年)に開業した写真館です。
 
金杉通りに静かに佇むこの光景は、この町で生まれ育った人には慣れ親しんだ建物で
 
新しくこの町に暮らしはじめた方には、洋風のこの古い建物はきっと不思議な存在で
 
機会があれば訪れてみたいと思わせるような、そんな雰囲気を醸し出していたことと思います。
 

私の記憶がたしかなら、1階は居住スペースで、2階が写真スタジオです。
 
95年続いた写真館は2013年6月に閉店しました。
 

その後、建物は解体取り壊しの方向で進んでいるという話を聞いたことがありましたが
 
家主さんや地域の方の「残したい」という想いが重なり、当面のあいだ残されることになったそうです。
 

そして今回、開催された型染作品をつくる3人の作家さんによる作品展「トキトソメ」
 
館内に入った瞬間、懐かしさがこみあげて来ました。
 

おそらく私が矢島写真館で写真を撮っていただいたのは3回ほどです。
 
入学願書用や大学の証明書、就活時の履歴書に貼る写真を撮っていただきに足を運んだ記憶があります。
 
2階にあがる階段が急だったことを思い出しました。
 

階段をあがって左手に撮影スタジオがあり
 
機材のセッティングを応接間で待つ。
 

すりガラスから差し込む光りを眺めていたら、撮影前の、あのちょっと緊張した時間を思い出しました。
 
展示スペースの片隅に飾られた1枚の古い写真。
 

矢島写真館のお隣には金物屋さん。
 
そうそう。今はシャッターがしまっていますが、あったんですよね。
 

そして館内に並ぶ作品。
 
スタジオと暗室と応接間に、3人の作家さんの作品が展示されていました。
 
時を経ていまもここに佇む写真館の空間からの創造。
 

デジタル作品だと良くも悪くも「瞬間」を切り取るような作風になりやすいけど
 
染色の場合は「時間の経過」ごと切り取っているような、時が染みるといえばいいのか
 
眺めているとジンワリ伝わってくる感じがなんとも心地良かったです。
 
まるでアナログの紙焼き写真が時を経て色褪せていって
 
それがまた良い味があるのに似てるような。
 

「矢島写真館」と「トキトソメ」の見事なコラボレーションでした。
 
おだやかな時間が流れる空間でずっと作品を眺めていたい。
 
そんなことを思わせてくれる作品展でした。
 

現在は、下谷の快哉湯さん(閉店)でも、町の人に親しまれてきた建物を取り壊さず、活用し後世に残していこうという取り組みが始まっていますよね。
 
とても楽しみです。
 
またこういった機会があったらぜひ足を運びたいです。