ふくちゃん派か三島屋派か。ソウルフード「たこやき」。

台東区下谷のミニストップの向かい。オレンジ色の暖簾が目印

5坪ほどの小さなお店「たこ焼き ふくちゃん」。

テーブルが2つと、奥に座敷席が1つの小さなお店で、いつもニコニコ笑顔のおばちゃんが、たこ焼きを焼いくれました。

ふくちゃんのたこ焼きは、200円で10個。

たこ焼きの他に、焼きそばが300円、かき氷は100円、ジュース100円。

メニューは以上。

かき氷は、注文すると、おばちゃんが冷蔵庫から、四角い透き通ったきれいな氷を出してきて、昔ながらの手動のかき氷機でガリガリガリガリと削り、フワフワのかき氷を作ってくれました。

そういえば、一時、小麦粉の価格が高騰したときに、おばちゃんに「たこ焼きを少し値上げをするか、たこ焼きの数を減らすかしないと、つらくないですか?」と言ったことがあります。

そのとき、おばちゃんは「本当はそうしたいんだけど、子どもが200円を握りしめて買いに来てくれたときに、250円になったのよ、なんて言えないから」と、飲食店などが軒並み値上げをするなか、値上げもせず、200円で10個を守り続けていました。

創業は1983年。

おばちゃんの子どもたちが小さいうちは、「お帰りなさい」と言ってあげられるような仕事をしたくてこのお店を始めたと聞いたことがあります。

私が子どもの頃、土曜日のお昼ごはんは、200円を握りしめ、ふくちゃんへたこ焼きを買いに走ったり、根岸4丁目にあった和菓子店「安藤」さんの赤飯むすびとおいなりさんが食卓に並ぶということがよくありました。

中学生のとき、ふくちゃんでたこ焼きを買って、学校で隠れて食べて、見つかって、先生にものすんごく怒られた、なんてことも。

たしか、あのとき、制服姿で買いに行った私たちに、おばちゃんは「ちゃんと家で食べてね」って言った記憶が。

ワルさをするのがバレていたんですね(笑)

大人になってからも、ときどき無性に食べたくなり、お店でおばちゃんに「最近どう?」「お仕事忙しい?」「お母さんはお元気?」なんて聞かれながら、たこ焼きを食べました。

閉店まぎわの時間帯にお店の前を通ると、鉄板越しにおばちゃんが「ちょっと待って。夕飯まだでしょ?これ持って行って」と、たこ焼きを持たせてくれたことも何度かありました。

思い出の味。

というか、私のソウルフードです。

おばちゃんが体調を崩されてから、ふくちゃんは、暖簾が出ていない日が増えました。

オレンジの暖簾が出ていないのを見るたび「体調がよくないのかな・・・」と、気を揉んでいました。

そしておばちゃんは、昨年お亡くなりになり、ふくちゃんは閉店しました。

近所の人に愛された「たこ焼き ふくちゃん」。

今も、ふくちゃんの前を通ると、おばちゃんの笑顔を思い出し、あのたこ焼きが食べたくなります。

そんな、ふくちゃんと、当時から人気を二分していたのが千束のたこ焼き「三島屋」です。

金美館通りを抜けて、国際通りを渡り、せんわ通りを台東病院の方へ向かう途中の交差点に三島屋はあります。

緑のテントが目印。向かいにはカクヤスがあります。

三島屋は、たこ焼きが9個で300円。

私の家からは少し距離もあったため、母が買い物帰りなどに買ってきてくれたりしました。

ふくちゃんのたこ焼きとまたちがって、キャベツがたくさん入っていて、生地がふかふかで軽め。

刻み紅しょうががアクセントになっている「ちょっとオトナ」なたこ焼きです。

入谷、下谷、根岸の子どもは「ふくちゃん派」

竜泉、三ノ輪、千束の子どもは「三島屋派」

そんな感じに、駄菓子屋のテリトリーと同じく、地域によって派閥がありました。

ふくちゃん派だった私が、三島屋をうらやましく思ったのは、今川焼きともんじゃ焼きがあることです。

熱々の鉄板で、グツグツ状態で運ばれてくるもんじゃ焼き。

先割れスプーンですくい、口の中の火傷など恐れず、ホフホフと一気にいただきます。

こちらは350円。

青のりと、目玉焼きがとてもイイ味をだしてくれます。

今川焼き。80円。

粉もん祭りが開催できますね。

娘が大好きなので、お土産に買いました。

店内では、近所のかたがお茶をしに来ていたり、サラリーマンがランチに、たこ焼きともんじゃと焼きそばを食べていたりします。

飲み物は、コーラやウーロン茶、チュウハイにビールがあり、冷蔵庫のなかに入っているのを自分でとって飲みます。

そして、お会計のときに「たこ焼きともんじゃとビール1本」と、自己申告をします。

「焼いてると鉄板から離れられないから、お客さんにセルフサービスでお願いしちゃってるんだよね」と店主。

お客さんとお店とのこういう距離感も、この町ならでは、なのかもしれませんね。

メニューには、みつまめ、クリームみつまめ、あんみつ、と甘味もあります。

もともとは「甘味処 三島屋」として始まり、みつ豆を出していたそうで、その名残なのだそう。

三島屋では、たこ焼き、もんじゃ、焼きそば、今川焼きと、すべてテイクアウトができます。

たこ焼きは、きれいに包装してくれて、ソースは別でついてきます。

食べる時にお好みの分量を自分でかける感じです。

お店で焼きたてを食べるのが最高だけど、このテイクアウトしたたこ焼きが、またどうして、格別な味がします。

あれってなぜでしょう?

包みを開けた時に立ち込める湯気と、香ばしい匂いのせいですかね。

今度、持ち帰りして、研究してみます。

ふくちゃん派の私は「たこ焼き ふくちゃん」の復活を密かに願いながら・・・

三島屋に引き続き、通うことにします。
店名:三島屋
住所:台東区千束3丁目4−9
電話:03-3872-4443
営業:12:00〜20:00
定休:水・木曜