福岡に住む友人からお歳暮をいただきました。
シュトレンです。

あちこちのシュトレンを食べ、美味しかったものを毎年この時期に送ってきてくれます。
今年は小樽のお菓子屋さんのものでした。
包みが素敵すぎて、いまだ開けられず。
包みはシュトレンの由来にならって、イエス様が包まれていたお包みの風情をデザインしているそうです。
そんな素敵な贈り物をしてくれた友人に、何をお返ししようかなと、考え、、、いや、それほど考えることなく「カフェ・バッハ」のコーヒー豆を買いに行くことにしました。
いつもは自転車でサーっと行ってしまうけれど、今日は散歩がてら歩いて行きます。
グーグルマップによると、入谷駅から徒歩でだいたい20分ほど。
【予定ルート】
金美館通り →→せんわ通り→→吉原大門→→いろは会 →→ 吉野通り→→カフェ・バッハ
ちょっとDEEPな散歩になりそう・・・
だけど、行ってみることにします。
まずは、金美館通りを抜けていきます。

「入谷一丁目」
あの角にあった八百屋さん。ときどき利用しています。いまは大正小学校の正門前へ移転しました。
大黒屋さん、天ぷら屋さん、ラーメン 万人力、家康うどん、などなど、寄り道スポット満載ストリートですが、グッとこらえて歩みを進めます。

「大正小学校前」
角にはお惣菜屋さんがあります。「入谷市場のお米屋さん」です。
こちらのモツ煮、オススメです。
いまスーパー「いなげや」さんになっているところは、もともと「入谷市場」でした。
正確には「入谷小売市場」です。
1930年に「東京市設入谷小売市場」として開設され、1948年に運営を都から区に移管され「台東区設入谷小売市場」となったのだそうです。
その後、施設の老朽化や町の移り変わりを受け、1998年にリニューアルオープンし「入谷ふれあい市場」と名付けられました。
近隣のかたがたのスーパーとして親しまれてきた同店は、1階に酒売店・婦人服店・文具店があり、地階は食品売り場となっていました。
そして一昨年の3月に、83年の歴史に幕をおろし、いまは「いなげや」に変わりました。

「入谷二丁目」
金美館通りも終盤に差し掛かってきます。


「天麩羅 千束 いせや」さんです。
こちらは「いせや」三兄弟の次男がやってらっしゃいます。
私は「かき揚げ天丼」推しです。
そういえば、このあたりを脇に入ったところに二郎系の「ラーメン 蘭」ができたとか。
今度、行ってみることにします。

「国際通り」に出ました。
左が三ノ輪、右が浅草です。
左に行くと、極太麺で有名な、そば店「角萬」さんの本店があります。
右に行くと、スパゲッティの専門店「ガルボ」があります。
国際通りを渡り「せんわ通り」へ向かいます。

「せんわ通り」です。
この通りは、かつての吉原遊郭裏門から右折し国際通りへ出る道と、小松橋通りに向かう道とのY字型の通りで、千束3丁目に位置しています。
戦前、この通りは「古着屋通り」とよばれ、衣料品店が軒を連ね、吉原へのひやかし客や浅草芸人が買って帰ったのだそうです。
吉原遊郭の消滅に伴い、人数も減り、今はとても静かな通りとなっています。

せんわ通りで、ずっと気になっている「キッチン 日の出」さん。

「名物かつ」。気になります。
木のドアといい、ドアの白いカーテンといい、看板の書体といい、すべてが気になります。

ショーケースに飾られたサンプル。
合羽橋であつらえたのでしょうか。
時が止まっています。
お店の中の様子を想うだけで、ワクワクが止まりません。
あのドアを開ける勇気を携えて「近いうち、行きます!」
ここに宣言し、さらに歩みを進めます。

交差点にむかうと、緑のテントのたこ焼き「三島屋」さんが見えてきます。
小腹が空いていたら、ぜひ立ち寄っていただきたいお店です。

たこ焼き 300円、もんじゃ350円、今川焼き80円です。
(詳しくはコチラの記事をお読みいただけるとうれしいです)
そして「三島屋」さんを右手に見ながら、せんわ通りを左に曲がって行きます。

「吉原弁財天」が見えてきました。
境内には関東大震災で亡くなった遊女たちを供養するために建立された吉原観音像があります。
少し立ち寄ってみました。
関東大震災では、逃げ遅れた遊女が500人近く、その命を落としたそうです。
曇り空のせいでしょうか…。観音様の表情はどこか悲しげで。
今もその不幸な出来事を悲しんでいるかのように見えました。

吉原弁財天を過ぎると「台東病院」が見えてきます。
台東病院は23区初の「区立」の病院です。
台東区の公式Webサイトによると、台東病院は、この町に住む高齢の方々が、住み慣れた町でいつまでも安心して暮らせるように、継続して治療が必要な慢性疾患への対応に重点を置いた病院なのだそうです。
老人保健施設を併設していて、入院からリハビリを経て、家に帰れるように必要なサービスを一貫して提供しているとのこと。
台東区は23区のなかでも少子高齢化が著しい区です。
ちなみに、台東区の総人口は193,800人です。
これに対し
・年少人口(0〜14歳):17,653人
・生産年齢人口(15〜64歳):128,577人
・老年人口(65歳以上):45,519人
老年人口比率は23.5%で、東京都の統計によると、23区内で2番目に高齢化が進んでいる町です。
保育園の数もそうですが、こうした施設を充実させていくことも台東区の重要な課題ですね。
台東病院の前を通り、先に進みます。

「吉原神社」です。
こちらは、吉原遊郭にお祀りされていた5つの稲荷神社と遊郭に隣接する吉原弁財天を合祀した神社です。
さきほどの「吉原弁財天」は、この吉原神社の飛び地境内に建っているというわけです。
この吉原神社は、吉原遊郭とともに歩んできた神社です。
吉原遊郭は1617年に、幕府の許可を得た庄司甚右衛門が江戸の町に散在していた遊女屋を、現在の日本橋人形町周辺に集めたことにはじまります。
その後、江戸の中心地が移行してきたことを受けて、1655年に現在の地である千束村へ移転しました。
当時、吉原には廓の守護神として5つの稲荷社が存在していたそうです。
そして1872年に、その5つの稲荷社が合祀され、総称して「吉原神社」と名付けられたとのこと。
吉原神社を通り、仲之町通りをまっすぐ進みます。

おしゃれなコインランドリーがありました。
コインランドリーといえば、このあたりでは銭湯と併設されているものでしたが、最近、このような“独立系おしゃれコインランドリー”を見かけるようになりました。
店内には英語の張り紙がされているので、海外からのお客さんたちも利用するようです。

御菓子司「二葉家」さんです。
こちらの名物は「菊最中」です。
菊の模様の皮の間に、あふれるほどの餡子が挟んであります。
菊最中は、戦後まもない、甘いものが貴重な時期に先代が「餡子たっぷりで喜ばれる」と始めたものなのだそうです。
2日間かけてじっくり丹念に小豆を蜜漬けして作られる餡子に魅せられ、足繁く通うかたも多いのだそう。
「切山椒」も有名です。
酉の市では鷲神社の境内で販売しているので、見たことがある方もいるのではないでしょうか。
ちょっと寄り道して、お土産に買ってもみるのもいいですね。
そして再び、進みます。
ここから先は、風俗店が続きます。
初めて行く人は、風俗店が立ち並ぶ雰囲気に少し驚いてしまうかもしれません。
が、ふつーに散歩してください。吉原遊郭の名残を感じながら。

(その2 へ続く)